子どもが学校行きたくないと言ったらどうする?
子どもが「学校に行きたくない」と口にした時、親としてどうすれば良いのでしょうか。この記事では、不登校の背景にある子どものSOSを見抜き、寄り添うための具体的な方法を解説します。年齢別にみる不登校の兆候や、家庭でできるサポート、学校との連携、そして専門機関への相談窓口まで、幅広くご紹介します。この記事を読むことで、子どもの状況に合わせた対応策を見つけることができ、親子ともに安心して過ごせる未来を描けるようになるでしょう。
1. 理由を見つける
「学校に行きたくない」と子どもが訴える背景には、様々な理由が考えられます。年齢や発達段階によっても、直面する困難や悩みは異なります。子どものSOSを見逃さないためにも、まずは年齢別に考えられるよくある理由を把握しておきましょう。
1.1 年齢別よくある理由
1.1.1 小学校低学年
1.1.1.1 学校生活への不安
- 先生や友達とうまく関係を築けるか不安
- 授業についていけるか心配
- 学校生活のルールが守れるか不安
- トイレに行くタイミングが分からず失敗するのが怖い
1.1.1.2 生活リズムの変化
- 早寝早起きや生活習慣の変化に体がついていかない
- 保育園や幼稚園との環境の違いに戸惑っている
1.1.1.3 家庭環境の変化
- 家族の病気や転勤など環境の変化にストレスを感じている
- 兄弟と比較され劣等感を抱いている
1.1.2 小学校高学年
1.1.2.1 学業の悩み
- 勉強が難しくなりついていくのが大変
- テストの結果が悪く自信をなくしている
- 特定の教科が苦手で授業についていけない
1.1.2.2 友人関係の悩み
- 友達とのトラブル(喧嘩、仲間外れ、悪口など)
- 親友とクラスが離れてしまい寂しい
- グループに入れず孤立している
1.1.2.3 自己肯定感の低下
- 容姿や能力に対してコンプレックスを抱いている
- 周りの期待に応えられないことに自己嫌悪に陥っている
1.1.3 中学校
1.1.3.1 思春期特有の悩み
- 身体的な変化や第二次性徴への戸惑い
- 異性への意識や人間関係の複雑化
- 反抗期による親や教師との衝突
1.1.3.2 学習の進路への不安
- 受験勉強のプレッシャーや将来への不安
- 自分の進路や将来の夢が見つからない
- 部活動と勉強の両立に悩んでいる
1.1.3.3 学校生活への適応困難
- 校則や学校のルールに息苦しさを感じている
- 部活動や委員会活動で負担を感じている
- 学校全体の雰囲気に馴染めない
1.1.4 高校
1.1.4.1 進路に対する悩み
- 大学受験へのプレッシャーや将来への不安
- 自分の興味や適性と進路の選択に迷っている
- 就職活動への不安や準備の遅れ
1.1.4.2 人間関係の悩み
- 友人との価値観の違いや将来への方向性の違い
- 恋愛関係のトラブル
- アルバイト先での人間関係
1.1.4.3 精神的なストレス
- 将来に対する不安や焦り
- 勉強や部活動、アルバイトなど、過剰な負担
- 自分自身に対する葛藤やアイデンティティの模索
1.2 子どものサインを見逃さない
子どもは、必ずしも「学校に行きたくない」と明確に言葉で訴えるとは限りません。むしろ、身体症状や行動の変化としてSOSを発しているケースも少なくありません。親として子どものサインを見逃さず、早期に気付いてあげることが大切です。
1.2.1 身体的サイン
症状 | 考えられる原因 |
---|---|
腹痛 | ストレスによる消化不良、緊張による腹部の張り |
頭痛 | 緊張性頭痛、ストレスによる血管の収縮 |
吐き気 | 不安や緊張による自律神経の乱れ |
食欲不振 | ストレスによる食欲低下、不安による胃腸の不調 |
過食 | ストレスを解消するために、食べ物を過剰に摂取してしまう |
睡眠障害 | 不安や緊張で眠れない、ストレスによる睡眠リズムの乱れ |
疲労感 | 精神的なストレスによる疲労感、睡眠不足 |
発熱 | ストレスによる免疫力の低下、心因性発熱 |
出典: こころの健康・メンタルヘルス 治療や生活を応援するサイト
1.2.2 精神的サイン
- 情緒不安定:些細なことで怒りっぽくなったり、急に泣き出したりするなど、感情の起伏が激しくなる
- 無気力:何事にも興味や意欲を示さず、ぼーっとしている時間が増える
- 自信喪失:自分を責めることが増え、「どうせ自分なんて…」と否定的な発言が目立つようになる
- 不安感:「学校で何か悪いことが起きるかもしれない」「友達に嫌われるかもしれない」など、漠然とした不安を抱えている
- 集中力の低下:授業中や勉強中に集中することが難しく、ぼーっとしていることが増える
1.2.3 行動的サイン
- 不登校:朝起きられない、腹痛や頭痛を訴えるなど、様々な理由をつけて学校に行きたがらない
- 遅刻・欠席:遅刻や欠席が増え、学校に行くことを避けるようになる
- 引きこもり:学校だけでなく、家からも出ずに自分の部屋に閉じこもりがちになる
- 学力低下:勉強への意欲や集中力が低下し、成績が下がっていく
- 反抗的な態度:親や教師の言うことを聞かなくなり、反抗的な態度が目立つようになる
- 自傷行為:リストカットや過度なダイエットなど、自分自身を傷つける行為が見られる
- 非行:万引きや暴力など、反社会的な行動に走る
出典: 子どものSOSサイン
2. 子どもの声に耳を傾ける
子どもが不登校に傾きがちなのは、心に何かしらの悩みや不安を抱えているサインかもしれません。そこで重要なのが、子どもの声にしっかりと耳を傾けることです。しかし、頭ごなしに「どうしたの?」と尋ねても、なかなか心を開いてくれないケースも少なくありません。子どもの心に寄り添い、安心して話せる雰囲気づくりが大切です。
2.1 安心できる雰囲気を作る
子どもが話しやすい雰囲気を作るためには、まず親自身が穏やかでいることが大切です。余裕がないと、つい「早く」「どうして」など、子どもを追い詰めるような言葉を発してしまいがちです。子どものペースに合わせて、じっくりと話を聞いてあげましょう。
- 穏やかな口調で話しかける
- 子どもの目を見て話す
- 相づちを打ちながら聞く
これらのことを意識することで、子どもは「自分の話を聞いてもらえている」と感じ、安心して話しやすくなります。また、リラックスできる空間を作ることも重要です。リビングや子どもの部屋など、子どもが落ち着ける場所で話をするようにしましょう。
2.2 否定的な言葉は避ける
子どもが勇気を出して話してくれた気持ちを否定するような言葉は、子どもの心を深く傷つけてしまいます。たとえ子どもの言動が理解し難いものであっても、頭ごなしに否定するのではなく「そうだったんだね」「つらかったね」と、まずは子どもの気持ちを受け止めることが大切です。
言ってはいけない言葉 | 言い換える言葉 |
---|---|
なんで学校に行かないの? | 学校で何かあったの? |
みんな行ってるんだから我慢しなさい。 | つらい気持ちを話してくれてありがとう。 |
さぼってないで早く行きなさい! | 今日はどう過ごしたい? |
否定的な言葉ではなく、共感の言葉を伝えるように心がけましょう。子どもの気持ちを理解しようと努める姿勢を示すことが大切です。
2.3 焦らずゆっくりと時間をかける
子どもがすぐに心を開いてくれるとは限りません。焦らず、ゆっくりと時間をかけて、子どものペースに合わせていくことが大切です。無理に話を聞き出そうとせず、話したくなった時に話せるような雰囲気を保ちましょう。辛抱強く寄り添うことが、子どもの心の扉を開く鍵となります。
文部科学省のウェブサイトでは、不登校の子どもへの接し方について、さらに詳しく解説されています。ぜひ参考にしてみてください。
3. 学校との連携
子どもが学校に行きたくない理由が複雑で、家庭だけでは解決が難しいと感じたら、ためらわずに学校と連携を取りましょう。学校には、子どもの成長をサポートする専門家がいます。彼らと一緒に問題解決に取り組むことで、子どもにとってより良い環境を作ることができます。
3.1 担任の先生に相談する
担任の先生は、子どもと毎日接し、学習面や生活面についてよく理解しています。子どもの様子の変化に気づいたら、まずは担任の先生に相談してみましょう。連絡帳や電話、面談など、状況に応じて適切な方法でコミュニケーションを取ることができます。
- 子どもの様子の変化(例:授業中に集中できない、友達とトラブルが多いなど)
- 家庭での様子(例:朝起きられない、食欲がない、夜眠れないなど)
- 学校に行きたくないと訴えている場合、その内容や頻度
- 家庭での教育方針や困っていること
担任の先生との信頼関係を築き、密接な連携を取るように心がけましょう。担任の先生だけで解決が難しい場合は、学年主任や校長先生など、他の先生方との連携も検討しましょう。
3.2 スクールカウンセラーの活用
スクールカウンセラーは、子どもたちの心のケアを専門とする相談員です。不登校やいじめ、友人関係の悩みなど、子ども自身が抱え込んでいる問題について、専門的な立場からアドバイスやサポートを提供してくれます。担任の先生に相談する際に、スクールカウンセラーとの面談を希望することもできますし、学校によっては子ども自身や保護者から直接スクールカウンセラーに連絡できる場合もあります。秘密は厳守されますので、安心して相談してみましょう。
相談内容の例 | 相談するメリット |
---|---|
学校での人間関係の悩み | 客観的な立場からアドバイスをもらえる |
学習面での不安やストレス | 効果的な学習方法やストレス対処法を一緒に考えることができる |
家庭環境に関する悩み | 問題解決のための適切な機関を紹介してもらえる場合がある |
3.3 学校以外の機関との連携
状況によっては、学校だけでは対応が難しい場合もあります。そんな時は、外部の専門機関と連携することも有効です。
3.3.1 教育相談センター
教育相談センターは、教育に関する様々な相談に対応する公的な機関です。不登校やいじめ、発達障害など、専門的な知識を持った相談員が、子どもたちの状況に合わせたアドバイスや支援を行ってくれます。電話や面談での相談が可能です。多くの場合、予約制となっていますので、事前にホームページなどで確認しておきましょう。
3.3.2 児童相談所
児童相談所は、18歳未満の子どもに関する様々な問題に対応する公的な機関です。虐待や非行、経済的な困窮など、子どもたちの福祉に関する相談を受け付けています。24時間体制で相談を受け付けている場合が多いので、緊急性の高い場合は、ためらわずに連絡しましょう。相談は匿名でも可能です。
3.3.3 精神科・心療内科
不登校の原因が、うつ病や不安障害などの精神的な問題である可能性も考えられます。医療機関への受診が必要と判断される場合は、精神科や心療内科への受診も検討しましょう。適切な治療を受けることで、子どもの心の安定を取り戻せる場合があります。医療機関を受診する場合は、事前に電話で相談内容を伝えておくとスムーズです。
3.3.4 NPO団体
不登校やひきこもり支援など、子どもたちの支援活動を行っているNPO団体も数多くあります。同じような悩みを持つ親同士の交流会や、子どもたちの居場所づくりなど、様々な活動を通して、子どもたちの社会復帰をサポートしています。NPO団体によっては独自のプログラムやカウンセリングサービスを提供している場合もあります。インターネットや地域の広報誌などで探してみましょう。
重要なのは、一人で抱え込まず、様々な機関と連携しながら、子どもにとって最適なサポート体制を築くことです。
文部科学省のウェブサイトでは、不登校に関する相談窓口や支援情報が掲載されています。ぜひ参考にしてみてください。
4. 家庭でできるサポート
学校に行きたくない、行けない状況にある子どもに対して、家庭ではどのようなサポートができるでしょうか。ここでは、家庭でできるサポートについて、具体的な方法を5つの側面から解説します。
4.1 規則正しい生活リズムを整える
不登校になると、生活リズムが乱れがちです。しかし、生活リズムの乱れは心身の不調につながりやすく、不登校からの回復をさらに困難にする可能性があります。規則正しい生活リズムを維持することは心身の安定を取り戻し、ひいては学校への復帰を促すためにも重要です。
- 起床・就寝時間を決める:可能な限り、平日と同じ時間帯に起床・就寝するようにしましょう。最初は難しくても、少しずつ生活リズムを整えていくことが大切です。早寝早起きによって体内時計がリセットされ、質の高い睡眠にもつながります。質の高い睡眠は、心身の安定、ストレス軽減、免疫力向上など、様々なメリットをもたらします。
- 3食きちんと食べる:朝食は体内時計をリセットし、一日の活動エネルギー源となるため必ず食べるようにしましょう。朝食を抜くと午前中の集中力や活力が低下し、学習意欲にも影響する可能性があります。また、昼食や夕食も栄養バランスを考え、できるだけ家族揃って食べるように心がけましょう。食事はただ栄養を摂取するだけでなく、家族間のコミュニケーションの機会としても重要です。
- 適度な運動を促す:軽い運動は、ストレス解消や気分転換に効果的です。散歩やジョギングなど、無理のない範囲で体を動かす習慣をつけましょう。運動は、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の分泌を促進し、精神的な安定をもたらします。また、太陽の光を浴びることで体内時計が調整され、質の高い睡眠にもつながります。
これらの習慣を継続することで、心身ともに健康的な状態を保ち、不登校の状況を改善に導くことができるでしょう。
4.2 栄養バランスの取れた食事
心と体は、食べたものから作られます。栄養バランスの取れた食事は心身の健康を支え、健やかな成長を促すために欠かせません。不登校の子どもにとって、栄養バランスの取れた食事は心身の安定を取り戻し、学校への復帰を後押しする力となります。
4.2.1 バランスのよい食事のポイント
- 主食・主菜・副菜を揃える:ご飯やパンなどの主食、肉や魚などの主菜、野菜やきのこなどの副菜をバランスよく組み合わせるようにしましょう。毎食、この3つを揃えることが理想ですが、難しい場合は、1日を通してバランスを取るように心がけましょう。厚生労働省が推奨する「食事バランスガイド」を参考にすると、バランスのよい食事をイメージしやすくなります。
- 様々な食材を取り入れる:特定の食品ばかりに偏らず、色々な食材を食べるようにしましょう。旬の食材は栄養価が高く、味もおいしいため、積極的に取り入れるとよいでしょう。食材の色を意識すると、自然と様々な栄養素を摂取することができます。例えば、赤色の食材には抗酸化作用のあるリコピンを含むトマトなど、緑色の食材には貧血予防に効果的な鉄分を含むほうれん草などがあります。
- 規則正しく食べる:朝食、昼食、夕食を規則正しく食べることが大切です。特に朝食は、体内時計をリセットし、一日のエネルギー源となるため必ず食べるようにしましょう。朝食を抜くと、午前中の集中力や活力が低下し、学習意欲にも影響する可能性があります。また、食事の時間や量が不規則になると体内時計が乱れ、睡眠障害や体調不良の原因となる可能性があります。
4.2.2 食事を通して親子時間を大切に
食事の時間は、親子でコミュニケーションをとる貴重な機会です。子どもの好きなメニューを取り入れたり、一緒に料理をしたりすることで、食事の時間をより楽しいものにすることができます。また、食事中の会話を通して子どもの様子や気持ちを理解するよう努めましょう。無理に学校の話をする必要はありません。子どもの興味関心に合わせて話を聞いてあげることが大切です。
4.3 十分な睡眠
睡眠は心身の疲労を回復させ、健康を維持するために欠かせません。十分な睡眠をとることで、集中力や記憶力が高まり、ストレスへの抵抗力も強くなります。不登校の子どもにとって、十分な睡眠は心身の安定を取り戻し、学校生活への復帰をスムーズにするために非常に重要です。
4.3.1 質の高い睡眠のための環境づくり
- 快適な寝室環境を整える:寝室の温度や湿度、照明、音など、快適な睡眠を得られる環境を整えましょう。室温は18~20℃、湿度は50~60%が適切とわれています。また、寝る直前のスマホやパソコンの使用は、ブルーライトによって睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、睡眠の質を低下させるため、控えるようにしましょう。
- リラックスできる時間を過ごす:寝る前は、ぬるめのお風呂に入ったり、ゆったりとした音楽を聴いたりするなど、リラックスできる時間を過ごしましょう。ハーブティーやアロマなども効果的です。寝る前にカフェインを含む飲み物は避け、カフェインレスの飲み物を選びましょう。また、寝る直前の激しい運動は、交感神経を優位にしてしまうため、避けるようにしましょう。
- 規則正しい睡眠習慣を身につける:毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるようにしましょう。週末も平日と同じ時間に起きることで、体内時計のリズムが整い、質の高い睡眠を得やすくなります。寝る前にスマホやテレビを見る時間を決めておくことも効果的です。寝る前に強い光を浴びると、体内時計がリセットされてしまい、睡眠の質が低下する可能性があります。
4.4 リラックスできる空間を作る
不登校の子どもにとって、家庭は安心して過ごせる場所であるべきです。子どもが安心してリラックスできる空間を作ることは、心の安定を取り戻し、自分と向き合う時間を与えるうえで非常に重要です。
4.4.1 リラックスできる空間作りのポイント
- 子どもの好きなもので囲まれた空間にする:好きなキャラクターグッズ、ポスター、絵画、植物などを置くことで、子どもが心地よさを感じられる空間を作ることができます。また、間接照明を取り入れることで、温かみのある落ち着いた雰囲気を演出することもできます。自分の好きなものに囲まれることで、心が安らぎ、リラックス効果が期待できます。
- 整理整頓された清潔な空間を保つ:散らかった空間は、視覚的なストレスを与え、心を乱してしまう可能性があります。こまめな掃除や整理整頓を心がけ、清潔で快適な空間を保つようにしましょう。整理整頓された空間は、心を落ち着かせ、集中力を高める効果も期待できます。また、掃除をすることで、適度な運動にもなり、気分転換にもつながります。
- 子どものプライベート空間を確保する:子どもが一人になれる時間や空間を確保することも大切です。自分の部屋はもちろん、リビングの一角など、子どもが安心して過ごせる場所を確保してあげましょう。一人で過ごす時間は、自分自身と向き合い、気持ちを整理する大切な時間となります。また、趣味や好きなことに没頭することで、ストレスを発散し、心の安定を取り戻すことができます。
4.5 親子でコミュニケーションをとる
不登校の子どもにとって、親は最も身近で頼りになる存在です。子どもの気持ちを理解し、寄り添う姿勢を示すことが、心のケアに繋がります。親子のコミュニケーションを通して、信頼関係を築き、子どもの心の安定をサポートしましょう。
4.5.1 日々のコミュニケーションのポイント
- 子どもの話に耳を傾ける:子どもが話したいときに、じっくりと耳を傾けることが大切です。「話 interrupting 」ではなく、「傾 listening 」の姿勢で、子どもの言葉に耳を傾けましょう。否定的な言葉や批判的な言葉は避け、共感の気持ちを持って接することが大切です。
- 否定的な言葉は避ける:「なんで学校に行かないの?」「早く学校に行きなさい」といった否定的な言葉は、子どもの心を傷つけ、自己肯定感を低下させてしまう可能性があります。頭ごなしに否定するのではなく「つらい思いをしたんだね」「どうすればいいか一緒に考えよう」など、寄り添う言葉をかけてあげましょう。
- 共通の話題を見つけて会話を楽しむ:無理に学校の話をする必要はありません。子どもの興味関心に合わせて、共通の話題を見つけて会話を楽しみましょう。好きな音楽、映画、ゲーム、アニメ、スポーツなど、共通の話題を通して自然な形でコミュニケーションをとることができます。
- スキンシップを増やす:スキンシップは愛情を伝えるだけでなく、心の距離を縮める効果もあります。頭を撫でたり、ハグをしたり、マッサージをしてあげたりするなど、積極的にスキンシップを取り入れてみましょう。スキンシップを通して、愛情や安心感を伝えることができます。
不登校は子どもからのSOSのサインです。焦らず、子どものペースに合わせて寄り添っていくことが大切です。
5. 無理をさせない
不登校は、決して甘えではありません。子どもにとって、学校に行きたくないと感じるほどつらい状況であることを理解し、無理強いをすることは避けましょう。焦りは禁物です。その子のペースに合わせて、ゆっくりと解決していくことが大切です。
5.1 学校を休ませる勇気を持つ
「学校は行くのが当たり前」という固定観念にとらわれず、その子の心身の状況を最優先に考えましょう。時には、学校を休ませるという選択肢も必要です。休ませることに罪悪感を抱く必要はありません。子どもにとって、心身を休ませるための大切な時間となります。
- 朝、どうしても起きられない
- 腹痛や頭痛を訴える
- 学校に行くことに強い不安や恐怖を示す
上記のような場合は、無理に登校させずに、学校を休ませてあげてください。そして、ゆっくり休ませてあげられる環境を作ってあげましょう。文部科学省の調査(令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要)によると、不登校の児童生徒の主な理由は、「無気力・不安」が最も多く、次に「いじめ」と「親との関係」が続いています。子どもの様子を注意深く観察し、原因を探ることから始めましょう。
5.2 フリースクールや通信教育の検討
学校に通う以外の選択肢として、フリースクールや通信教育があります。これらの選択肢は、その子に合った学び方やペースで学習を進めることができるというメリットがあります。
5.2.1 フリースクール
フリースクールは、学校以外の場所で、子どもたちの学習や生活をサポートする施設です。不登校の子どもたちが安心して過ごせる居場所を提供するとともに、学習支援や体験活動など、子どもたちの個性や才能を伸ばすための様々なプログラムを提供しています。
- 不登校の子どもたちの居場所:フリースクールは、学校に行きたくても行けない子どもたちにとって、安心して過ごせる居場所となります。学校とは異なる環境で、同世代の子どもたちと交流したり、スタッフと話をしたりすることで、孤独感を解消することができます。
- 学習支援:フリースクールでは、子どもたちの学習進度や学習スタイルに合わせた、個別指導や少人数指導を行っています。学校で学習が遅れてしまった子どもたちも、自分のペースで学習を進めることができます。
- 体験活動:フリースクールでは、自然体験や芸術活動、スポーツなど、様々な体験活動を通して、子どもたちの社会性や協調性を育むとともに、豊かな感性を育むことを目的としています。
5.2.2 通信教育
通信教育は、自宅で自分のペースで学習を進めることができる学習方法です。インターネットを活用したオンライン学習を取り入れているところも多く、近年注目されています。教材も充実しており、子どもたちの学習意欲を高める工夫が凝らされています。
- 自分のペースで学習できる:通信教育は、自分のペースで学習を進めることができるため、学習習慣が身についていない子どもや、学校の授業についていけない子どもでも、無理なく学習を進めることができます。
- 教材が充実している:通信教育の教材は、子どもたちの学習意欲を高めるために、イラストや写真、映像などを効果的に活用したものとなっています。また、学習内容を理解しやすいように、分かりやすい解説や練習問題が豊富に用意されています。
- 費用が比較的安い:通信教育は、塾や予備校に通うよりも費用が安いというメリットがあります。教材費も、教材の内容や量によって異なりますが、一般的に塾や予備校よりも安価です。
5.3 子どものペースに合わせて
不登校からの回復は一進一退です。焦らず、その子どものペースに合わせてゆっくりと見守ることが大切です。小さな変化を見逃さず、褒めてあげたり励ましてあげたりすることで、子どもの自己肯定感を高めることが重要です。
また、周囲の理解とサポートも必要不可欠です。学校や教育相談センター、医療機関などと連携し、子どもにとって最善の道を一緒に考えていきましょう。
6. 相談できる窓口
子どもが学校に行きたくないと訴えている時、保護者だけで抱え込まず、誰かに相談することも大切です。ここでは、相談できる窓口を具体的に紹介します。
6.1 公的機関
6.1.1 教育相談センター
各都道府県や市町村に設置されている教育相談センターでは、教育に関する様々な相談を受け付けています。不登校に関する相談も専門の相談員が対応してくれるため、まずは気軽に相談してみましょう。電話相談や面接相談などが可能です。
文部科学省のウェブサイトでは、各都道府県・指定都市教育委員会の相談窓口一覧を掲載しています。
6.1.2 児童相談所
児童相談所は、18歳未満の子どもに関する様々な問題について相談に応じている機関です。不登校をきっかけに、家庭環境や親子関係など、他の問題が顕在化している場合は、児童相談所に相談してみるのも良いでしょう。秘密は厳守されます。
厚生労働省のウェブサイトでは、全国の児童相談所の連絡先を掲載しています。
6.2 医療機関
6.2.1 精神科・心療内科
不登校の原因が、うつ病や不安障害などの精神的な問題にある場合もあります。子どもの様子が気になる場合は、精神科や心療内科を受診し、専門医に相談してみましょう。適切な診断と治療を受けることで、不登校の解決につながる可能性があります。
6.3 民間団体・NPO団体
6.3.1 不登校に特化したNPO団体
不登校に特化したNPO団体では、不登校の子どもやその家族に対する支援活動を行っています。相談会やイベント、フリースクールなどの情報提供を行っている団体もあるため、活用してみましょう。同じ悩みを持つ親同士の交流を通して、心の支えを得ることもできます。
- 認定NPO法人 フリースクール全国ネットワーク:全国のフリースクールやサポート団体を繋ぐネットワークです。ウェブサイトでは、地域別のフリースクール情報を検索することができます。
6.3.2 その他
相談窓口 | 概要 |
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電話相談サービス「よりそいホットライン」 | 悩みを抱える人のための電話相談窓口です。24時間365日、無料で相談することができます。 |
LINE相談「チャイルドライン」 | 18歳までの子どもを対象としたLINE相談です。悩みや不安を気軽に相談することができます。 |
上記以外にも、様々な相談窓口があります。一人で抱え込まず、信頼できる人に相談したり、専門機関の力を借りながら、子どもにとって最善の道を一緒に考えていきましょう。
7. まとめ
「子どもが学校に行きたくない」という言葉を聞いた時、保護者としてどうすれば良いのか迷ってしまう方もいるかもしれません。この記事では、年齢別にみた不登校の理由や子どものサイン、そして具体的な対応策を紹介しました。
大切なのは、子どもの声に耳を傾け、安心できる環境でじっくりと向き合うことです。一人で抱え込まず、学校や教育相談センター、NPO団体など、相談できる窓口を積極的に活用しましょう。不登校は、決して恥ずべきことではありません。子どものペースに合わせて、温かく見守っていくことが重要です。
安心できる居場所・新しいことに挑戦する・自分だけのユメを見つける
自分のやりたいことが夢へとつながる、仲間・体験がYUME schoolにはあります
ご相談・ご見学などお気軽にお問合せください
この記事の監修者
保有資格
∟中学校教諭一種免許、高等学校教諭一種免許
経歴
∟千葉県技能連携校 校舎長
∟千葉県通信制高校 開校責任者 校舎長 エリアマネージャー
∟ロサンゼル日本人学校 学園長補佐
∟埼玉県技能連携校 校舎長
∟埼玉県フリースクール フリースクール長
などを歴任したのちにYUME Schoolに経営幹部として参画。